悪魔のダーウィン賞
■ チャールズ・ダーウィンについて   

「ダーウィン賞」の名前のもととなった、チャールズ・ダーウィンについて
調べたことを書いてみよう。

彼は著書「種の起源」(1859年)で「環境に適応したものがより多く生き
残る」という所謂「適者生存」説を提唱した。
しかし、実はこの元ネタはトーマス・マルサスという経済学者が1798年に
発表した「人口論」という本である、というのはあまり知られていない。
その書の中ででマルサスは「人口の増加に対し、食料の生産は追いつ
かず常に不足する。この慢性的な食糧不足を緩和するため、貧困、犯
罪、疫病、戦争といった社会現象が生まれ、自然に人口調整が行われ
る。生存競争に勝ったものが生き残り、弱いものは滅びる」という意味の
学説を発表した。
バードランド・ラッセルも指摘しているように、ダーウィンはこの説に飛び
つき自然界にそれを置き換え「種の起源」を著した。

一例として「キリンの首は何故長いか」という有名な話がある。
「キリンの祖先の首はそんなに長くはなかった。しかし、何匹かの子供の
中に首の長いものがいた。
その首の長い子は短い他の子に対しての生存競争に勝って生き残る。
そうすると、その首の長い子を基にして代々首の長い形態が遺伝してい
く。だから、現在のキリンはそういった生存競争の勝ち組である(だから
首が長い)」というのである。

こんなものは「あとずけ」の理屈である。
これでは中学生だって信用しない。
じゃー、何故象さんの首はないのかしら?
馬さんだって、首はそんなに長くないよ。
どうしてキリンさんだけが首がながいの?
人間のろくろ首は進化なの?
(これは関係ないか)

「キリン説」が正しければ、首の短いキリン、あまり長くないものといった
進化の過程、中間型の化石が存在しなければならない。
が、実際にはそんなものが発見された形跡はないのだ。
大体、キリンの首は背の高い木の葉っぱを食べるために長くなったとい
う考えが根底にあるのだが、そうであればキリンは何故背の低い木の
葉が嫌いなのかを証明しなければならない筈だ。

「人間の祖先はお猿さんである」
と言うのが定説だが、
「上野公園のお猿さんはいつ人間になるのですか?」
という小学生の素朴な質問になんと、学者は答えられないのだ。
苦し紛れに
「猿の進化はすでに停止したのである」
などと実に都合の良いことを言っている。
遠藤周作氏も
「学者になぜそんなことが分かるのか」と書いている。
      (足の向くまま気の向くまま 文春文庫)
適者生存、すなわち生存競争という理論を作り上げたダーウィン自身は
30歳のころから病弱で、死ぬまでの約40年間まともな日常生活を送れ
なかったという。
それでも多分子供はいたはずだ。
ダーウィン理論を適用すれば、彼の子供も勝ち組にはなれない、すなわ
ち「自然淘汰される」存在ということになる。
それを否定することは自分の理論を否定することになる。本人もその点
について随分と悩んでいたようだ。
なんとも皮肉な話である。

自分の作ったインチキ理論によって自らの頭を悩ませ悶々としながら死
んでいったチャールズ・ダーウィンこそ、正に「ダーウィン賞」に値する人
物である。

(2002.3.30)

         (参考文献:エントロピーの法則U J・リフキン 祥伝社)


               


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