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【オフセット】

 音痴のこと。
カラオケでがなるひどい歌には耐えられません。
生まれながらの音痴はいないという説がある。
では何故音痴が製造されるか?それはこの世に生まれ落ちた子供が音痴の母親のひどい歌を聞かされているうちに伝染してしまうというのだ。
しかしこの学説(?)にはいくつかの弱点がある。
母親のいない子に音痴はいないのか。
これを統計的に証明することは困難であろう。さらに、ひどい歌を聞いて育った子供が何故音痴になるか、という本質的な問題である。本来の正しい曲を知らない子供にとって、音痴の母親の歌でもすべてりっぱな曲のはずである。(奇妙なメロディを覚えてしまう、という問題は残るが。)結論を言えば、この説はオフセット理論を知らない愚説である。
ではなぜ音痴がこの世の中に存在するのか?
悪魔の説は極めて簡潔かつ、説得力がある。すなわち「音痴は生まれながらにして音痴」なのである。音痴の人間は本質的に自分が音痴であることが分からない(はずだ)。何故なら、随分はずれた音を出していても、自分では正しい音が出ていると思い込んでいるからだ。しかし、我々も彼らを笑うことは出来ない。所詮、人間は自分のことは分からないものだ。
知り合いの魔女だが、自分の映っているビデオを見ながら呟く、
「鏡を見ている時は私もまあまあの顔だと思っているけど、こうして見ると私ってブスネ!」
現代の浮世絵師、山藤章二氏も
「この世で女性ほど自分の顔を知らない人種はいない」と言っている。
(さきほどの魔女、本当は美人ですが)
 「方向音痴」、「数字音痴」、「仕事音痴」、「業務計画音痴」、「課長音痴」・・・・等々から分かるように、問題解決学でいう問題(目標と現実の差異)、自動制御理論におけるオフセット(設定値と制御値との差)と音痴とは同義語である。
オフセットを減少させるには積分動作(経験)が有効とされているが、音痴が練習によっても簡単に矯正できないと同様、物事はそう単純にはいかないよ、ということである。

『アホはアホ。20歳のアホは60歳になってもアホ。人間、歳は関係ない』
                           (シャンソンより)

                             (1989年7月)