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【フェイルセイフ】

 お守札のこと。安全について考えてみる。今をときめく大前研一氏は大学を卒業後、日本のトップ企業であるH製作所に入社する。それと同時に独身寮に入るのだが、しばらくして一枚の貼紙に気がつく。それは
「暖房使用規則」であり、電気ストーブとガスストーブを使用することを禁止しているのであった。
人サマに「倒れても安全な石油ストーブ」とか「スイッチを切り忘れても、高温になると自動的に切れる電気ストーブ」
などと宣伝している企業がこともあろうに自社員に「人災上の理由」から固く使用を禁じていたのである。二重安全装置などといっていても、実はかようにたよりない代物なのだ。
 安全といえば車だが、初心者にとって一番やっかいなのがクラッチ操作である。坂道発進の際にずるずる後退するのは恐怖であり、この点に関してはオートマチック車は実に発進がスムーズで、ありがたい。
 時々オートマ車(変な略語だ)の事故が話題になるが、その多くは急発進によるものである。クラッチ車の場合はよほど上手に操作してやらないとエンストのため急発進が出来ない。
 このおかげ(?)でミスによる急発進の事故は少ないのだ。すなわち、クラッチは立派なフェイルセルフ機能を有していた訳だ。
 話は変わるが、他人に借金を申し込む時のきまりの悪さ。実にいやなものですが、これも金を浪費しないためのフェイルセルフ機能と考えられる。それは、この世にサラ金なるものが出現し、嫌な上司に金を借りずにすむようになった結果は・・・・。
 便利さと安全は両立しないことを我々は肝に命じなければならない。
 ソフトウェア、計装の世界でも同じである。プログラムなどの量が大きくなると、それに応じてエラー処理も増大していき、それがまたプログラムの全体量の増加につながる。まさにイタチゴッコ。
プログラム開発者、計装設計者の最後の手段はCRTの上に"バグ退治のお守り"を貼っておくぐらいであ
る。

「信ずる者は救われる」 悪魔
                            (1990年1月)