【積分動作】

 経験のこと。何か問題が生じたらじっくり検討して行動する方式である。
 これはちょうど、ベテランが色々な事柄を対処するやり方に似ており、その基になるのが、「経験」である。
 車の違反制度を考えて見ると、違反をする度に点数を加算し、一定の点数に達すると免許を取り上げる。この方式は実に積分動作的な処理方式である。
 最近の若者(若葉マーク)の事故は、以前に比べ随分増えているように思う。
 したがって、従来の点数制度では間に合わないということで、最近、点数と期間を短く設定しなおした。これは積分動作のパラメータ変更にあたる。
 経験が重要であるのはだれしも認める所だが、あればよいものでもない。
 「40年の経験者」といばっても、「一年の経験を40回繰り返しただけの人」が実際多い。日本の伝統工芸を守る貴重な人間国宝などといってもこの手合いが多い。ゴルフで考えてみよう。ゴルフを上手になろうと思う人は、まず練習場に行き球をひっぱたく。しかしながら、大半の人は何年たっても何球打とうが上手にならない。
 練習の成果、すなわち経験は打った球の数(積分値)に等しい筈なのに、何故だろうか。結論をいってしまえば、経験は失敗の数の合計(積分値)だというべきなのだ。極めて恵まれた練習場という環境の中でうまくいっただけなのに単純に喜ぶ。コースに出て大たたきした時は、コースや道具のせいにする。
 失敗を失敗と本人が認めなければ積分値はゼロ、すなわち経験にはならないということである。
 これは、会社の仕事でも、車の運転でも同じで、言いわけの多い人は何年たってもベテラン(経験者)にはならないのである。このことを頭にいれて、コラム最後の格言を読まなければ、いつも手配ミスをする営業マン、チョンボの多いサービスマンの行動を理解することはできない。
 ゴルフに話を戻せば。大阪の某部長のように、2、3回コースに出てすぐ自分の腕を判断し、ゴルフを止めてしまった人もいる。これは積分的動作ではないが、世の中にはこの方が賢明な場合も多い。

「若い時1990年4月に、百万円儲けたということは、将来一億円稼ぐための経験にならないが、若い時に百万円損をしたことは将来一億円稼ぐための経験になる」
                     −原安三郎(日本火薬)−
                              
                            (1990年4月)  








                                  


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