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【オーバーシュート】 

悪のりのこと。
『車は急にとまれない』という名コピーが昔あったが、これは別に車に限ったことではない。
一秒ごとに進む式のアナログ時計の秒針をよく観察すると必ず一度行きすぎてから戻るような形で次の場所に移動していく。これが『オーバーシュート』という現象であり、早い動作を必要とする装置ほどこの傾向が顕著になる。
電気ヒーターの制御をする場合、温度設定の上限に達し、ヒーターをOFFにしても、実際にはある時間は温度はさらに上昇を続ける。これはなぜかと考えなければいけないのだが、たいていのサービスマンは温度設定だとか比例帯だとかをいじることをだけを行うようだ。ヒーターをOFFにしても温度がすぐに下がらない理由は簡単である。すなわちヒーターが通電されている間、ヒーターのフレームなどがすっかり加熱され、ヒーターがOFFになってもしばらくはそれがヒーターの代役をするのである。

新しい本とか映画の広告、宣伝などはまったくこの原理を利用したもので、上手く流行を作り上げていくのだ。すなわち売出の初期の段階で大々的な広告をぶちあげ、人々の関心を引きつけ、はずみがつけば後は自然に売れて行くのである。皆さんの手元にあるベストセラーなどの幾つかはこの手にのせられたものの筈である。
N証券の場合も同じこと。自分でどんどんT電鉄の株を買いあさり、値を釣り上げて投資家をあおる。だまされた投資家が気がついた時は、自分はちゃっかり売却しているのである。
早い反応を示すものほど、オーバーシュートの傾向が強くなるので、そういう意味から、すぐ過剰反応を示す日本人などは気をつけた方がよい。
その点、ソビエトのクーデター騒ぎの時の海部首相の反応はどっちつかずで、極めて評判が悪かった
が、意外と正解だったかもしれない。
                            (1991年10月)