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【エラー】

 思い違いのこと。
「人間は考える芦である」といったのは、パスカルだが、D. モリス(動物行動学者)風にいえば、
「人間は間違いの多い猿である」というのが本当のところである。
「誤ちは人の常、これを許すのは神(to error is human, to forgive divine.)」という諺があるくらい、人類の歴史は間違いの歴史でもある。このコラムもミスプリントが多い。以前も、ノイズの説明に「冗長度」と書いたら「冗談度」にされてしまった。
それはともかく、間違いの本質については昔から研究されている。

間違いにも色々あるが、1977年に実際に行われた実験が興味深い。
これは米国の有名な模擬監獄の実験である。
アルバイトを数十人雇い、一つのグループを囚人役、一つを看守役にして12日間、模擬の刑務所生活を送る計画である。ところが看守役はすっかり役になりきり、本気で、囚人役をいじめだす。
あまりのいじめのひどさに囚人役の数名が情緒不安定となり、結局2週間の予定がわずか6日間で実験は中止になった。
しかし、この実験で貴重なことが明らかになった。人間は意外と簡単に「役割」になりきることができるということでである。
さらに実験の主催者は気がついていないのだが、実はこの実験では、制服が重要な役割をはたしているというが明らかになったことである。
人間は制服を着ただけで性格が変わってしまう。軍服、警察の制服はダテではないのだ。
(そして、その制服を見る側にとっても)

このような話は課長になったとたんに得意になって客先に名刺をくばったり、部長になったとたんに部下をどなりだしたりするケースによく似ている。これは、間違いというより勘違い、考え違いというほうが適当であろう。
通信の世界では送信側の信号が受信側に正しく電送されたかどうかをチェックするため、正規の信号にプラスして、チェック用の信号を付加して送る、いわゆる、パリティーチェック方式が採用され、効果を上げているが、前述のような間違いをチェックする方法がいまだに未開拓であるのは、今回の一連のバブル事件でも明かである。


『神父様、私は、一日に何度も鏡を見て、その度に自分を美しいと思うのですよ』
『わが子よ、心配せずに続けなさい。それは罪ではない。単なる誤りです』
                   …フランスのジョーク
                             (1992年1月)