サービス(service ->奉仕)
テニス用語「悪魔の辞典」



ここでは分かったつもりでいるが実は分かって
いないテニスに関する様々の用語について悪
魔的解釈を試みる。







サーバー」とは奉仕する人。   。
だから「サービスフォルト」などで相手方にポイントを与えることが本来の
意味のサービスである(?)。
ゲームの開始時に、相手コートにボールを放り込む行為を何故「サービス」
というようになったのか?
これは、テニスの歴史としてある程度定説になっていることから話を始める
が、テニスの源流は「ジュ・ド・ポーム」という、フランスで盛んにおこなわれ
たゲームだということをまず押さえておこう。
実際にこのゲームで遊んでいたのは勿論金持ちの貴族とか僧侶である。
当然、召使いがついていてゲーム開始の際にボールをご主人さまに手渡す
(サービスする)ことが「サービス」の語源である。
ちなみに、召使いは「サーバント」。
もう一つは、ゲームはまずサーバーがコートサイドを覆っているひさしにボール
を打ち上げてそれが地上に落ちてきてレシーバーがそれを引っぱたくという
ことで始まるという説である。
いずれにしても、当時はレシーバーが攻撃側だったというところが面白い。

行きつけの赤提灯に行き、親父の機嫌がいいと「サービス」といって一杯
ごちそうしてくれることがある。
日本では「おまけしろ」、あるいは「ただだろう」という意味で使われるが、
アメリカで店員に「安くしろ」
という意味で「サービスしてくれ」といっても通じないだろう。
もう一つ。
喫茶店でよく使われる「モーニングサービス」とは本来「朝の礼拝」という
意味だから、ハワイなどの旅行中、ホテルの食堂で使わない方がよいだ
ろう。




             
 フォルト(fault->失敗)

サーバー側から見るとサービスライン内に入っているし、レシーバー側から
見ると入っていないように見える不思議なボールのこと。

クラブテニスではセルフジャッジなので、入っているはずのボールでもレシー
バーが「フォルト」と言えばそれはアウトと言うことになる。
「フォルト!」と宣告したレシーバーに対し、サーバが「気持ちは分かるけど」
などというのはマナー違反、ルール違反である。

 

この絵は有名な「ルビンの壺」(ゲシュタルト心理学者ルビンの作)で、見方により壺になったり、
女性が二人顔を向かい合わせているようにも見える。

ルビンの説は「人は意味を持たない抽象形を見ると、生活経験や願望から勝手に意味のある形に
修正して見る傾向がある」ということ。

これから考えれば、「フォールト」のコールでもめるのも無理からぬことかも知れない。



「フォルト」の代わりに「ジャスト」ということが多いが、これは「ジャスト・アウト」
の意味だろう。
「ジャスト」というのは「正しい」という意味(Justice=正義)だから、「Just in
(time)=時間ぴったり」という言葉はあっても「Just out」とは言わないのでは
なかろうか?
「slightly out」とでも言うのかしら?
しかし、30cm以上サービスラインをオーバしたボールを「ジャスト!」と叫ぶの
は、相手に対する嫌みという意味ではかなり有効な戦術であるかも知れない。

パソコンの用語として使われる「デフォルト(default)」は法律用語の「債務不履
行」と同じで「何もしないこと->原設定」という意味になる。

             

の絵は何に見えるでしょう?










 
(婦人と老婆)

  






             ガット(gut->腸)

正しくは「ストリングス」という。

かっては「針金」が使われていたこともあった(らしい)が、ガットといえばほとんど
はナチュラルシープしかなかった。
ナチュラルシープとは、羊の腸を細く切って乾燥させ、それをよってからロウで固め
たもの、これが "gut" の語源となった。
このあと、絹のガットやナイロンのガットが開発され、さらに細い合成繊維を編み
上げた現在のようなものが主流となってきた。
当然、打球感とか反発力に違いがあるが、最近のテクノロジーの進歩により随分
差が縮まったと言われている。
また、ナチュラルシープとはいっても、最近は「牛の腸」を使用したものが主流だそ
うだから、「俺のはシープ」と自慢しても実はビーフ(とは言わないだろうが)だった
というのもなんかかっこつかない感じである。

ガットはボールを飛ばすということ以外にも精神集中のためにガットを睨んだり、会
心のショットを決めたときに、悠々とガットのずれをなおしながら余韻にひたれるなど
の重要な機能を有している。

かなり昔の名画「アパートの鍵貸します」で、主人公ジャックレモンがガールフレンド
のシャーリーマクレーンに昼飯を振る舞うため、彼のアパートでスパゲティーをゆで、
その湯切りにテニスラケットを使う有名なシーンがある。大変印象的な画面だったが
これはウソ。
スパゲティーをゆでると大変に高熱となり(そばをゆでてもあんなに熱くはならない)、
あんなことをしたらどんなガットでも溶けてしまうので間違っても真似をしないことだ。

一般的には、3ヶ月程度でガットが切れなくても交換すべきというのが「常識」であるが、
悪魔がナチュラルシープを常識にそって3ヶ月ごとに交換しているのに、安いガットを
2年も交換せず悪魔に勝ってしまう強者を見ると何が常識なのかよく分からなくなって
くる。



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フレームショット(flame shot)

ラケットの枠でボールをで打つ高等技術。

相手のコートに入らなければ意味がないが、入った場合にはこれほど有効なボール
はない。
上級者ほど、相手のラケットの面とか打たれたボールの音を瞬時に判断し対応する
がこのショットはそのすべてを上回る変化をする。
すなわち、飛んでくるべき方向に飛んでこない、やたらに妙な回転が加わるため、
弾んでからとんでもない方向にバウンドするなど、始末が悪い。
ヘボほどこのショットを打つのが上手なので、もっとしっかり練習すべきである。
(コーチは教えてくれないが)





             
 スマッシュ (smash=粉砕する)

3回続けると大抵ミスをするテニスの中でもっとも失敗する確率の高いボールの
打ち方。
自分が決めると大変気持ちがよいが、失敗すると相手を同じくらい気持ち良くさせ
てしまう。
相手に決められると大変悔しいが、失敗してくれると相手以上に嬉しくなる。

空中にある物体は「高さ×質量×重力」という物理学の法則どおりの位置エネル
ギーを有している。
従って、上から落ちてくるテニスボールには当然加速度がつく。
だから、同じスマッシュでもバドミントンのシャトルように落下スピードが変わらない
ものを打つのに比べて格段に難しいショットとなる。
他のショットでも同じだが、焦って早く打ちすぎるとネットに邪魔され、そうかと言って
ゆっくり打ちすぎるとラインアウトする。
我がテニスクラブでは、ネット派が多数を占めている。

何故か?
テニスに限らず、遅すぎるより早すぎるほうがミスを犯す確率は高いのである。





             
フットフォルト(foot fault)

あまり正確な表現ではないが、「サーブをするときエンドラインを踏むこと」をいう。
わがテニスクラブではこのルールは存在しない。
90%以上の人が無視しているか、知らずに違反しているからだ。
(小生もそうかも)
どうしたらいいのでしょう?

テニスの創世記の頃はラインを踏んでサーブをすることがルールだったそうなので、
また昔に戻すのも一つの手段か?







                ロブ (lob)

ボールを高く山なりに打つこと。
ロブを有効に使うことが出来るようになれば中級者である。とは一橋庭球クラブのH/P
での解説である。
ロブも攻撃的なモノと守備的なモノとがあるが、双方が守備的なロブで応酬すると時間が幾ら
あっても足らなくなる。
ゲーム開始前に、相手側に「ロブは3回しか打ってはイカン」と脅かすのは論外だが、10分も
続くロブ合戦はひんしゅくをかうことが多いので注意。
(スイマセン!)
「スマッシュ」の項目で、「3回続ければ大抵は失敗する」と書いたが、これは相手のスマッシュ
をロブで返すことを意味している。
ところが、最近、「テニス2000(ヴィック・ブレイデン著)」という格調高い本を読んでいたら、
「いいロブを3回返せるような名手は極めて少ない」という項目があった。
悪魔に対する反論である。
これは困った。
一応、ここでは権威に負けて「勝負なし」ということにしよう。




                  ドロップショット(drop shot)

別名、「オヤジゴロシ」。

勿論女性にも効果があるが、女性の場合には身体的条件があり、基本的にドロップショットの処理は
苦手なのでほどほどに。
ネット際にポトリと落とすボールだから、基本的にソフトタッチの微妙なショットだが、うまく入れば
もし相手が何とか拾ってもイージーボールになるため次のボールで難なくポイントをいただける

ドロップショットはネットを越えてなるべく弾まずにボールが死んでくれた方がよい。従ってどんなに
トップスピンにこだわる人もこのショットだけはアンダースピン(スライス)気味に打たなければならな
い。
こだわったといえば、あのトップスピンにこだわったボルグはドロップショットは打たなかった。
(打てなかった?)

ドロップショットが効果的なのは相手側がベースラインに釘づけになったとき(釘づけにしたとき)に
相手のクロス側にうつ
当然、相手の走る距離が最大になるので、少し甘いショットでも決まる。あるいは疲れさせるだけの
効果は十分ある。
そのショットが入ったらの話だが・・・





                   重いボール(omoi tama)
                     

「ヒンギスのボール、重いんですよね」(伊達公子)
というように使う。
プロ野球でも「黒木のボールは重いのでなかなかホームランは打てない」などとアホ解説者が
TVでのたまわっている。
いずれにしても日本独特の表現である。
空中にあるボール(野球でもテニスでもゴルフでも)はf(x、s、g)*1で表される。
すなわち、ボールの質量とスピードと回転の関数であると言うことである。
例えばピッチャーから投げられたボールはバッターに向かう間に徐々にスピードと回転数が減少
していく。そしてボールの重さだけは増える?。
そんなことはない。ボールの重さが増すのはアインシュタインの相対性理論により、ボールのスピ
ードが光速に限りなく近くなった場合だけである。
硬式野球をやったことのある人はお分かりと思うが、あのボールは元々が重いのでバットの芯で
打たないと、腕にジーンという変な感覚が残る。
この感覚をさして「重いボール」と言っているようだが非科学的である。
テニスなどでも、ボレーをしようとバシー!の筈が、敵のボールにこってりスライスがかかっていたた
め、ネット際にボコ。このときもやはりズシンという感じはあるが、これも単なるミスショットにすぎな
い。
もう一度整理すると、ボールの重量は一定であるから、後は回転数とスピードだけの問題。
回転数かスピード(あるいは両方)に騙されてミスショットしたとき、あるいはスウィートスポットを外
した際に、理由が分からないので「重いボール」とでも言っておけば安全なのである。
(次の追求がない)
体育系のテニス選手に限らず、競技者も物理学の基本くらいは勉強した方がよい(そしてコーチも)。
いくらあのピート・サンプラスの弾丸サーブでもテニスボールが砲丸投げの玉になったのを見たこと
ないでしょう。

  *1 f:関数を表す x:スピード s:スピン量 g:質量 






           カウント(counts)
                     

テニスを始めてまず戸惑うのはテニスのカウントの仕方。
誰でも必ず、「なぜ 0 15 40 と数えるのだろう?」と
例によって、これも諸説紛々。奇説、怪説が一杯でどれが本当だろう?
なんせ、「球戯論(A・スライノ/1555年)で「この奇妙な。カウントの仕方はかなり昔からの習慣
である」と
述べられている位だから根は深い。

・テニスの前身はフランスで生まれた『ジュドポーム』だというのは「サービス」の項で述べた。
 当時のフランスの貨幣「スー」 1コイン:15スー(中世の貨幣単位)。コイン4枚で上位の貨幣
単位になる。
 したがって4分の1づつ カウントする。
・1ポイントごとに逆に1コイン(15スー)を競技者が賭けていたという説。
・ポイントの表示に時計の文字盤を使っていたときのなごりで、文字盤を4等分して 15分ずつ針
を進めていった。

などが一般的な説である。
いずれにしても、フランスでは良く使われる「60進法 (1/4分割)」がすべてに共通している。

さて、それでは何故「45」を「フォーティー」とコールするのか?
これは、フランス語で「カラントウ・サンク」を省略して40「カラントウ」と呼ぶのが一般的になった。
これはほとんど定説だが、本当かね?

そろそろどうでも良くなったが、
「0」をラブ(love)と呼ぶかも触れなければならない。
・「0」はタマゴの形に似ていてそれをフランス語で「Loef(ルフ)」。
 それがイギリスに渡った際に訛り、「Love(ラブ)」になった。
一応これが一番普及している説。
・オランダ語で「名誉を賭けて戦う」という意味で「ロフ」という言葉が使われていたのが訛ってラブ
になった。
という珍説もある。
また
・「to play for the love of game(ゲームが好きだから楽しいからやる)、すなわち掛け金なしでトラ
ンプなどの ゲームをすると言う意味の「to play for love」からきている」と言う説がある。
            『英語の?はてな』(英語青年・時事英語研究1999.6)
訛り説よりは遙かに説得力があるが、当時のテニスは金を賭けてやっていたという説が有力なの
でこれも?

で結局真相は不明。
多分フランス人は分かっていると思うが、英語の語源はすべてフランス語だと豪語しているお国柄
だから、フランス語が語源だと言われているウチは何も言わないだろう。

しかし、たかが16世紀のこんな単純なことも分からずに、ローマ帝国とか鎌倉幕府時代の出来事
を見てきたように論文をものにしている学者はいかにも怪しげな種族と言わなければならない。

最後にデュース(deuce)だが、
これは、勝利まであと二つ。仏語(deux:2)が語源と言うことで珍しく一致。
ただし、英語のdeuceの第一意は何と「悪魔」。
(devilよりは上品な言葉とか))





         フォロースルー(follow through ->振り切る

どんなスポーツでもフォロースルーは大事である。
ただ、何事もそうだが日本はカタチにこだわりすぎ。
剣道の試合では相手の頭を引っぱたいたあと、シナイを持ってそのまま
のカタチで5歩くらい突き進まなければならない。
これは「残心」と言ってこの儀式を行わないとポイントにならないらしい。
本当の戦いでこんなことやって相手が石頭だったら、かっこつけているうちに後ろから相手に
易々と殺されてしまう。
(相手の頭を引っぱたくときには「おめ〜ん」と叫くが、「こて〜」と言って頭を引っぱたくと
 どうなるのかしら)


一般的に、スクール出身のプレーヤーはほとんどがきれいなフォロースルーをとる。
こういったプレーヤーに共通しているのは肝心の打つ瞬間の状態よりは美しい、かっこいいフォ
ローを作ることに普請するところだ。
これはコーチにほめて貰おうとして、涙ぐましい努力と言えば言えるが本末転倒である。
ゴルフもフォロースルーに関してうるさくコーチする人が後を絶たないが、完璧なフォロースルーが
とれても肝心のボールは足元から1cmも動いていないなどと言うこともある。
本来フォロースルーとはスウィングした後の結果(作品)であり、そのフォロースルーだけを論じて
も意味のないことである。

要するにボールとラケット、あるいはゴルフヘッドとの接触時間などと言うものはそれこそ1/10秒
とか1/100秒というレベルであり打ったあとはどんなカッコしても飛んでいってしまったボールに
影響を与えることは不可能である。

とは言っても、スウィングが始まると各スウィングポイントの状態はその前のスウィングポイントの
状態を表している。前が悪ければ後も悪くなるという意味である。
だからフォローするーを見ていればスウィングのどこに悪さがあるかが判るのである。
繰り返すが、フォロースルーは大事だが、フォロースルーだけをいじっても全く無意味であると言
いたかったのである。

プロと違い、クラブテニスのレベルではボールを打った後、首に手が巻き付くような強烈なショット
を打つ人などはまずいない。
だが、単に首に手が巻き付く打ち方をする人は結構多く存在する。
(これは単なる例である)




      コートチェンジ(court change)

典型的和製英語。
正しくは「チェンジエンド」という。
ゲーム後にお互い着ていたコートを交換するという意味ではない。





         
ヨーク(york)

ラケットの打球面を支える三角形の部分。
この部分に相手の打ったボールを上手にはめることができる器用なプレーヤーがいる。






             ミスショット(miss shot)

「クラブテニスレベルだと80%以上がミスショットの数で勝敗が決まる」
とされている。
前にも紹介した書籍「テニス2000(ヴィック・ブレイデン著)」では、
「勝負の秘訣は相手方のコートにひたすらボールをいれること」と書かれている。

誰もミスショットをしようと思ってする人はいないのだが、それに近い無謀な人はいる。
要するに、自分の腕、技術が伴わないショットをしようとする人である。
クラブテニスレベルでは、一発でエースを決めるほどの球威を持つ人は極めて少ない
のが実態だが、打ちたいと思うところに錯覚があるのだ。
格言的に言えば

「(神よ)自分が打てるボールは打つ勇気を
  打てないボールはそれを打たない謙虚さを
  そしてそれ(両方)を見分ける知恵を授け給え」
という姿勢が必要である。

もっとも、何でもないボールをネットに引っかけて相手コートにボールが戻らないというのは
初心者以外は許されない行為であり、その原因は

1.練習が足りない
2.素質がない
3.その両方
に尽きる。
と、まあ人には言えるが、これは私が悪魔であるから自分のことはさておき何を言っても許されるのだ。

ミスショットの原因として精神面の問題があり、その対策としてメンタルトレーニングがあるが、これもク
ラブテニスレベルでは技術面を磨くことの方が遙かに重要である。



*本当は
「(神よ)変えることの出来るモノは変える勇気を
  変えられないモノはそれを受け入れる謙虚さを
  そしてそれ(両者)を見分ける知恵を授け給え」
   (改革の祈り 米国アルコール依存症の会)






         
ボディーショット (body shot)

女性にもっとも嫌われるショット。
男性相手でもこのショットを打つと、「勝負に辛い」などと言われる可能性が強い。
悪魔はあえてこのショットを打とうとは思わないが、相手から打たれても(超至近距離では怖いが)
何とも思わない。
打たれて、あるいは打って当然と思う。
ルールで禁止されていないのだから当たり前である。
ボディーショットを嫌うということは極論すればテニスが出来ないということになる。
勝負事はルールで禁止されいること以外はすべてやっていい。
汚いとか、ずるいなどと言うことは一切ない。
昔の話だが、レンドルがネットを取ったエドバーグの体めがけて何発も強烈なショットを打ち、エドバー
グがことごとく返してポイントを取った試合をTVで見たことがある。
大変な迫力であった。面白かった。

ところでbody shotというと、body(体)を使ったショットという意味になるからラケットの代わりにお腹を
使ってボールを打つということになる。
あるいはbodyとは死人の意味もあるから、亡霊が現れてボールを打つというオカルティックなショットか
もしれない。
これも和製英語の可能性が強い。






               フイッチ (which)

ゲームを開始するときに一方が自分のラケットを回す前に「フィッチ?」と相手に尋ね、相手が「スムーズ
(ラフ)」などと答えそれによりサービスの順番が決まる。
いつもおなじみの光景である。
これもトスするときに「アップ オア ダウン?(up or down?)」と聞くのが正式であろう。
スムーズ(ラフ)は昔ラケットに飾り糸があった時代には成り立つ話で、いまは結局グリップエンドに印刷
されたメーカーのロゴなどが正しく上を向いているか、逆さまかで決めている。
困るのはYAMAHA製とHEAD製のラケットで上下がよく分からない(分かりにくい)。
WILSON製のラケットの場合「W or M?」 。
あるいはPRINCEだと「p or d ?」などと聞けばかっこいい。






              ウオッチ (watch)

相手のボールがまだ空中を飛んでいるとき、パートナーに「アウトくさいゾ!」と注意を喚起するコールであ
る。
事実上、大抵パートナーは信用してボールを見送ることになる。
結果的にはボールが入っているケースも多いので、これをコールしたパートナーを信用しすぎるのは良く
ない。
なぜ、「アウト」とコールしないかと言えば、例えば「ウオッチ」の代わりに「アウト」とコールすると、
これはセルフジャッジの場合は判定と取られるのでコールの後に、ボールがイン(グッド)だった場合、判
定の変更になるのでその時点で相手側のポイントになる。
ボールがまだ空中にボールが飛んでいる内にアウトボールだと判断し、「アウト」とコールすると、相手方
をムッとさせることは間違いないのでマナー違反を承知でやる強者もいて、もめることもあるようだ。




          
マナー(manner)        

テニスは本来マナーにうるさい。
とはいっても常識レベルの話である。

相手にエースを奪われたりしたら
「ワー!」
「キャー!」
コートの中に入ってもピーチクパーチクしゃべりまくる人達。
これらは圧倒的におばさんが多い。
久しぶりにいいショットでポイントを取ったとき、そのショットを相手に解説するためわざわざネット際
まで行き得意になってしゃべる人。
これは圧倒的におじさんが多い。

ボールを相手に投げる時は「手」でオーバースローがマナー。
他のコートに行ってしまったボールを取ってもらっても「ありがとう」が言えないおじさん、おばさんが多いの
は困ったもんだ。





                   トップスピン(top spin)        
      

テニスが上達してくるにしたがい、打球のスピードが上がる(普通は)。
それは大変良いことなのだが、それにつれてボールが相手コートに入りにくくなる(アウトになるケースが
増える)。
そこでトップスピンショットの登場である。
これはラケットでボールを打つ瞬間にボールに順回転を与えるショットの方法である。
このショットで打たれたボールは相手コートに飛んでいくとボールの回転により急激に落下する。
ちょうど、野球の投手が投げるカーブボールと同様である。
これによりコート後方のフェンス直撃していたボールが相手コートに入るようになる。
というのはちとオーバーだが理屈で言うとそういうことである。
また、物理の「エネルギー不滅の法則」により、同じスウィングスピードで打たれたボールのエネルギーは
フラット、トップスピンショットに限らず全く同じ。
つまり、トップスピンショットの場合スピンをかけるためにエネルギーを消費するため、当然スピードはフラット
ショットより遅くなる。
ということはこれだけでも相手コートに入る確率が上がる訳だ。

これまでの説明だとこのショットはいいことずくめだが、世の中そんなに甘くない。
トップスピンをかけるには下から上への体重移動とそれに伴いラケットが急激に下から上にとスウィング
されるので打ち方としては不安定な難しいショットになる。
何度も引用している「テニス2000(ヴィック・ブレイデン著)」で、著者は
「ボルグもあんなにもトップスピンショット
にだわらなければもっと楽なテニスが出来たのに」
と書いている。
ボルグにあこがれてテニスを始めたおじさん達は、飛んだり跳ねたりして涙ぐましい努力でトップスピンを
打っている(つもり)だが、年とともに打球速度が遅くなることを先ほどの理論で考え直せば、そこまでスピ
ンをかけなくても相手コ−トにボールは十分入るはずである。
大体、トップスピンを打ってボールがネットを越えないようではトップスピンを打つ意味が全くないのだ。

というわけで、トップスピンを打つのに十分なスウィングスピードが出せない、トップスピンを打たなくても相手
コートにボールが入る段階に入った人たちはスライスショット派などに転向する(すべき)。
これ称して「スピンアウト」という(?)






          スライス (slice)  

ゴルフで一番嫌われる右に曲がっていくショットである。

テニスも同様、スライスは本来サイドスピンのかかったボールのこと。
普段我々が使っているスライスは正しくはアンダースピンという。

そのスライスだが、クラブテニスで横行しているフォアハンドのスライスはほとんどがラ
ケットを上から下に急激に振り下ろすことで打たれている。
これは昔の教科書がウソの打ち方を教えたからと言われている。
本当のスライス(アンダースピン)は打った後、オーバーに言うとラケット面は上を向く。
ジミー・コナーズの打ち方を思い出せばよい。

このボールはアンダースピンのせいで地球の引力に逆らって飛んでいくので、当然
スピードは遅くなり同時にほぼ一直線に飛んでいく。
したがって、トップスピンと反対にボールがアウトしやすくなる。
ただし、飛んでくるボールとラケットのスウィング面の角度がほとんど変わらないので
打ち方としては安定している。
また、トップスピンのようにスウィングスピードを要求されないので、体力を消耗しない
というメリットもある。

思い切りアンダースピンがかかったボールは浮き上がってくるように見えるが、勿論
これは錯覚。
あの程度の回転数ではボールは浮き上がらない。
ボールは(万有引力の法則で)地上に落ちるということを人間は分かっているので、
引力に逆らってまっすぐ飛びボールを見ると浮いてくるように錯覚するのである。




       フットワーク(foot work) 

じたばた走る人、音も立てないで走る人、色々いるが一番大事なのは走るスピードで
はなく、最初の一歩をいかに早くスタートするかである。
自分から一番遠いところにボール打たれても、それを追いかけて走る歩数はせいぜい
20歩止まりだろう。
足の速さはあまり関係ないのだ。

コートが空いて、自分たちの順番が来てもまだ他の連中とべらべら喋り続けたり、
おもむろに、日焼け止めのクリームを塗り始めたりとか、試合が終わっても一人だけ
ベンチでもたもたしているのがいる。
こういう人もやはりフットワークが悪いのである。











 to be contenuied (まだまだ続く)



     ・随時、内容の更新・追加をしています。時々のぞいてください。

       (最終更新日:2002.3.23)





                
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