2009年1月20日      
茨城県東茨城郡大洗町磯浜町8231 TEL029-267-2276
ホームページ http://www.bakumatsu-meiji.com/

幕末と明治の博物館(旧・常陽明治記念館)は、昭和4年4月に明治天皇御尊像を奉安した聖像殿の開館によりスタートした。その後、同6年5月に財団法人常陽明治記念会が創設され、さらに、同7年7月に陳列館(別館・常設展示室1・2、企画展示室1・2)を建設し完成した。
 この博物館の創立者は、宮内大臣として明治天皇のご信頼が厚かった田中光顕伯爵である。田中伯は御尊像及び御下賜品をはじめ幕末の志士や明治の元勲の書画、美術工芸品を寄贈され、本館の充実を図った。その後、田中伯の意を汲み多くの方々より寄贈・寄託がなされた。なお田中伯の略歴及び書は、常設展示室2に展示がある。

澤本江南著、田中光顕伯の監修になる「坂下義挙録」を入手したところ、大橋訥庵、菊地教中をはじめ、坂下事件関連の志士が書いた書画や消息が数多く掲載されており、田中伯蔵となっていたので、これら資料がいずれかに保管されていると推測して探したところ、この博物館がヒットした。
そこには、大橋訥庵の書、菊地教中の山水画、児島強介の獄中書簡などが展示されていた。

幕末と明治の博物館 正面全景


正面には田中伯の銅像



徳富蘇峰書の石碑

「大義を昭し名分を但し以て天下の人心を指導す」
明治天皇の御聖像が奉安されている聖像殿
増築される前はこの建物が正面に位置していた。平成17年国の登録有形文化財に指定された。


今は見ることのできない聖像殿正面
昭和前(昭和4)
鉄筋コンクリート造平屋建、建築面積121u
やや横長の矩形平面で,窓を2層に扱い,外壁にコリント風の大オーダーの半柱をつけ,四面に独立柱4本でペディメントを支持する。屋根はドームから方形造に改造された。内部は1室で明治天皇像を収め、背面側の壁をアーチで飾る。


明治天皇御尊像 
原型謹作渡辺長男氏 銅像謹鋳岡崎雪声氏
昭和4年4月14日 宮内大臣田中光顕伯によって奉安される

陳列館は昭和7年の創建。聖像殿と渡廊下で接続する鉄筋コンクリート造平屋建。展示室外壁は無窓で,石造風に目地を切った擬石仕上とし,角形付柱が区画する重厚な外観意匠である。軒下には歯飾を施す。第1展示室の南面には窓を設け,コリント風円柱を並べてアクセントとしている


菊地教中南画「浅峰山水」

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常設展示室1に展示されている菊地教中の南画。眼鏡をかけている教中の肖像は珍しい。どこかに原版があるはずである。当博物館は主として水戸の勤王党を中心に展示されているが、宇都宮の志士として、大橋訥庵、児島草臣(強介)の遺墨も展示されている。

児島草臣 孤囚日記より
「愛読文山正気歌 平生所養果如何 従容只待就刑日 今日九原知己多」