実験窯の作製 (U)

by 足跡

2、プロパン窯の製作

本窯にプロパン窯を使っているので、その燃料系統を利用して廃棄物の陶職人電気窯から還元焼成用の「プロパン窯」を製作することとしました。
製作に当たり、燃料燃焼型の小型窯のメーカー製はどの様な物があるか? を調べましたが、2社程度が製品として出している様ですが、今一元気が無いような・・・・
また、インターネットで自作の窯が幾つか紹介されていましたが、これまた、どうも「温度上昇が芳しくない」等の芳しくない情報が・・・・
「まー結構、難儀しそうだナー」の覚悟で製作に入りました。
2-1、製作の方針
○ 保管するスペースが十分確保出来ないので、陶職人窯の元のサイズ(500*450*600)を出来る限り守る。
○ 陶職人窯の材料を出来る限り再利用し、廃棄物は出さない。
○ 実験窯として利用する為に「燃料費の節約」に留意する。
○ 還元焼成に於ける実験窯と本窯との「再現性」に関する問題は・・・・実験窯で目安を付け、本窯での再現は本窯で努力する。
  ・・・・と割り切りました。

2-2、製作の準備
1) バーナーについて
電気窯の還元焼成用のバーナー(新品 約15,000円)を調べましたが、還元炎が作れない。
道路舗装の時にアスファルトを柔らかくするハンドトーチバーナーは、やはり酸化炎が作れない。
料理用のリングバーナーは使えそうですが、価格が25,000円以上と、我が財布にはチト重たい。

インターネットで旭商会(http://www.geocities.jp/asahi_cyuuko/)で1万円の中古バーナーを発見!!
「使える物か?」の不安を抱きつつ購入しました。
送られて来たバーナーは画像の通り「バカデカ?」
「買ってしまったのだから使うしかない」の勢いで使ってみましたが・・・・意外に使えました。
驚いた事は・・・・
画像の赤丸部分で、ネジに取り付けられた蓋を開閉して空気とガスを混合させます。
従って赤丸部分から先のトンネル部分から燃焼が始まっているはずです。
当然、トンネル部分が加熱されると覚悟してましたが、、、、全然熱くなりません。
このことは燃焼中にバーナーを移動する際、トンネル部分を支えることが出来、安全に移動する為に大いに助かってます。

2) 耐火レンガとモルタルについて
お恥ずかしい話ですが、それまで「耐熱レンガと断熱レンガ」の違いが判ってなかったのです。
一般的に登窯で使われている(と思われる)耐火レンガを手に取ってビックリ!!  メッタ重たい
「このレンガで実験窯作ったら・・・・窯の移動ナンゾ出来マヘン」
しかし、本窯で使われているレンガはメッタ軽い
・・・・やっと「耐熱レンガと断熱レンガ」の違いが判ったわけです。

色々調べた検討した結果 五常産業樺f熱レンガB5(イソライト)を利用することとしました。
(10個単位、送料込みで6,258円、20個使用)
耐熱モルタルとして電気窯にも使用した旭キャスター 13SとSK-32を使用することししました。
3) ガス配管について
ガスのレギュレーターは本窯用の物を共用する為に、レギュレーターの後を分枝させることとしました。
また、実験窯は普段格納して置き、必要な時に移動、燃焼させる予定でしたので、バーナーはある程度移動可能にしておく必要がありました。
その為に、出来ればバーナーはゴム管で接続することを考えましたが・・・・
しかし、本窯用のガス配管は「中圧方式」である為、使用できる配管材料の規制を受ける可能性があり、プロパン業者さんに改造を拒否されると困るので、事前に相談せずに窯を完成させた後、業者さんに強引に頼み込むこととしました。
結果・・・プロパン業者の親切な担当者が相談に乗ってくれ、アセチレン溶接用のゴム管を使って配管をして戴きました。(改造工事費合計で15,000円)
ガス供給の調整は、バーナー側のコックは使わず、殆どレギュレーターだけで行っております。

4) 窯の基本構造
燃焼方式は購入した中古バーナーに依り必然的に自然燃焼方式(ブロァー等で空気を送らない方式)となりました。
また、努力目標?として倒炎式 (窯の左右にバーナーを配して、熱を炉床に設けられた穴から煙道、煙突へと流れて) を目指しました。
2-3、製作
1) 窯の構造の概要
以下に窯の構造の概略を示します。
○ 実際には、熱伝対温度計、陶職人の温度計の2本が取り付けられております。
○ 床や壁部分は、ロックウールやモルタルを適時臨機応変に使用して組み立てました。
○ バーナー上部の棚板は炎道を確保する為に溝状になっており、煙道に炎が直接流れない工夫しました。
○ 煙突は適当なサイズの配管が入手出来なかったので、穴開きアングル鉄材と鉄板で四角状の煙突を作りました。
○ 還元燃焼の為のダンパーを煙突の下部に設置しましたが・・・実際はあまり効果は無い様です。
○ ピープホールも取り付けてありますが・・・あまり使い道はありません。

2) 製作
以下に窯本体部分の製作画像を示します。
@ 陶職人の分解状態 A アングル上部に窯本体取り付け
       下部にバーナー取り付け
B ロックウール材
  ステンレス釘が打ち込まれて固定されていた。
Cロックウール、焚き口の設置
  煙突支持部分へ旭キャスター打設
  イソライトの仮置き
D 焚口の下部
  イソライトで成型
E 焚口にバーナーを置いた状況
  画像上部、小さな丸がピープホール
  画像上部左側、陶職人温度計
F 煙突方向
 イソライトレンガの接続はSK-32モルタル仕上げ
G ピープホール方向
  窯上部は旭キャスター仕上げ
H 煙突部分 I 陶職人温度計設置
J 作品をサヤに入れる。
  熱伝対温度計の設置
K 棚板を置く
L 半分に切断して薄くしたイソライトとロックウールを置く M 陶職人の蓋(蓋中央の出っ張りは削り落す)
N 煙突 O 余計な事?
2-4、運転
運転してみて感じました。
「小さなプロパン窯の難しさ」・・・・・窯の製作以上に時間がかかりそう、10回近く焚いてやっと目途がついて来ました。
そして・・・「小型のプロパン窯」が一般的では無い理由が、やっと判りました。
製品だったら、クレーム、クレーム、クレーム・・・・
1) 燃焼の調整
燃料の供給はレギュレーターを経由して調整してますので、相当微妙な調整が可能と思われます。
最初は「ガスを多く供給すれば温度が上がる」と単純に考えておりました。
しかし、煙突から炎が出る迄ガスを供給しましたが・・・・温度が上がってくれません!!
逆に低下してしまうのです!!
還元燃焼についても、当初は煙突から煙が少し出る状態が良いのではと燃焼させましたが・・・・釉薬に煤が入り込み、窯の底にタール上の残渣が残ってしまいました。
色々試した結果・・・・
「陶芸窯の中の温度の状況は、風呂釜のお湯の分布と違って、最高ポイントが移動する様な挙動を示すのでは?」 との考えに至りました。
大きな窯ですと、その最高ポイントの存在範囲が大きく、窯内の何処かに存在するので、燃料供給を大きくしても「温度が下がる」現象は現れません。
しかし、小さな窯ですと、最高ポイントが容易に窯の外に移動してしまい、温度の低下を生じるのでは・・・との「感覚」を得ました。
この感覚を掴んだ後はナントカ温度管理が出来る様になりました。
(時には、温度を上げる為に燃料供給量を下げる事もあります)
しかし、窯の気分に従う?運転ですから、燃焼時間は8時間以上掛かってしまうこともあります。。
当初5時間程度の運転時間を望んでおりましたが・・・・仕方ありませんね
還元焼成の炎の調整は、結局バーナーを外に取り出して炎の状態を見ることがベストとの判断に至りました。
通常は、バーナーの炎が見える位置に鏡を置き、炎の中身?を観察しながらの運転です。
その結果、煙突から煙は殆ど出さないでの還元焼成となっています。

2) その他の対策
○ サヤの使用
窯の温度分布が変化し易い(2ツの温度計の指示値の差が変化する)ので、少しでも作品へ影響を減らす為にサヤの使用が必要の様です。
○ 還元インジケーター?
温度の判定にはゼーゲルコーンを利用してますが、酸化還元の管理をどうしょうか? で思いつきました。
辰砂釉薬を掛けたテストピースを使う方法です。
画像の左は「サヤの中に入れた物」、中央は「サヤの外に置いた物」、右は酸化焼成のサンプル
このインジケーターで還元の深さ、炎の当たり方が・・・・もしかして、判るかも知れません。


2-5、まとめ
外側のスペースは煙突部分が出っ張ってしまいましたが、マーマーの大きさに
燃焼時間は少し永くなりましたが、燃料はそれ程多くは消費しない様
陶職人からの余分な廃棄物も発生させないで済みました。
反省としては・・・・
実験窯なのに「焼成途中の作品が取り出せない」
これは致命傷の様な、、、、イチイチ温度を上げて焼成実験をする必要がある。
将来は・・・イソライトの様な非常に優秀な断熱材を利用して、小さなサヤを作り、燃焼途中で・・・・・と夢は・・・でも、今回の製作で疲れたなーーー
以上