◇ 数字はウソをつかない。しかし、ウソつきは数字をつかう

出典不明だが,とりあえず下記の新聞記事を読んで頂こう。

【ニューヨーク11日=山中季広】息子を1人育てるごとに母親の寿命は8カ月も縮むという研究論文が、米科学誌サイエンス最新号に掲載された。
フインランドのトゥルク大学の研究者が、地元の教会に残された古い家系記録をたどり、子供の性別と母親の寿命の関係を統計分析した。
延命医療のなかった1640年から1870年までの230年問に、出産して50歳まで生きた女性を調査対象にした。
娘だけを産み育てた女注は、男児を持った女性より長生きで、息子ひとり当たり34週間も母親の寿命が短くなることが判明した。当時の女注の平均寿命は62歳で、平均4人の子供を産んだ。
「一般に男児は出産時の体重が女児より重い。母体にかかる負担が大きい分、寿命が縮むのだろう」というのが研究班の結論だ。

   ー朝日新聞 2002.5.12

この新聞の発行日は「母の日」。その母の日にこのようないい加減な記事を載せる朝日新聞の意図は何なのか?
それにしても、ひどい説である。まさに「数字でウソをつく」を地でいったようなものだ。最後の結論も誠に都合のよいもので、これぞあとづけの知恵である。
昔有名な統計のウソを思い出す。

「ニューヨークで交通事故で死ぬ確率より戦争で死ぬ確率は数倍高い」
なんてのがありました。
これはたしか米軍のリクルートキャンペーンポスターにあったキャッチコピーだった。
同じようなもので
「航空機での事故は何万kmに一回。これは車の事故の何分の一(バカバカしいので数字を覚えていない)」なんてのもあった。

さすがプロが作った作品なので巧妙だが、よく考えればウソとすぐ分かる。
航空機と自動車事故を「距離」で比較するのは全く意味のないことなのだが、説得力があるのが凄い。

健康に関する統計はもっといい加減。

「肉を食べる人の寿命は・・・」
「ジョギングする人の寿命は・・・」

皆、業界とか学者などというものは自分に都合のいいように数字をもっともらしくでっち上げているだけなのである。

「うそには三種類ある。
 うそ、大うそ、それに統計である」
                  ーディズレーリ

ジョークを二つ。


「10人の子供を産んだ女性がいた。
 それまで何の問題もなく生んでいたのに、11人目を妊娠したとたん、
 すっかり動揺してしまった。一体どうしたのか・・・
 心配して様子を訊ねたドクターに彼女は
 ーオクラホマの子供の十一人に一人はインディアンだというじゃないの。
 インディアンの子供なんか育てるのはまっぴらだよ 」
     ーオクラホマのジョーク(オキージョークというらしい)

戦後まもなく、日本政府は食糧難によって数百万人の餓死者が
出るという統計を元にアメリカに莫大な食糧援助を求めたが、
その何分の一かの輸入で別段死人も出なかった。
そのことをマッカーサーが詰問した。
マッカーサー
「でたらめな数字を出すな!」
吉田茂
「うちの統計がそんなに立派なら、戦争には負けてませんよ。」

「世界で毎年150人が、落ちてきたヤシの実に当たって死ぬ。
 サメによる死亡事故の十数倍になる――
 そんな話をご存じだろうか。ノーベル賞のパロディー「イグノーベル賞」
 を獲得したカナダ人医師のパプアニューギニアでの研究を根拠にした数字
 という。
 ▼欧米では「誰もが知る本当の事実」に近い扱いを受けているそうだが、
 「“ヤシの実死”なんて誰がどう数えたのか」と怪しむ人は健全な懐疑心の持ち
 主である。誰も調べてはいないのだから。死者数はどうも、英国の保険業者がカ
 ナダ人の研究を基に、仮定を重ねてひねり出したらしい。
 ▼米国の社会学者J・ベスト著『統計という名のウソ』に、統計と向き合う心得
  「数字が、いかに作られたかを問うべし」の大切さを教える挿話として書かれ
  ている」。
    ー日経新聞(春秋.2008.2.24)

 
*「数字はウソをつかないが、ウソつきが数字を作る」
 ともいう。
 「血液型性格説」も同様である。

数字というものは変な魔力があり、同時に説得力があるから要注意である
イヤハヤ・・・
くれぐれもだまされないように。

(2003.8.30 修正)
(2008.2.26 追加)





アクセスカウンター激安10選!推奨ウェブナビ