なぜ天使はいつも白い肌で,悪魔はいつも黒いのか

「なぜ天使はいつも白い肌で,悪魔はいつも黒いのか.なぜ大統領の公
 邸はホワイトハウスなのか.なぜ黒い猫だけが不吉なのか」
といったのはムハメド・アリ。

実は「黒い神 白い悪魔」という題名のブラジル映画もある。が、それはどうでもよい話である。

最近、彼の半生を描いた映画「アリ」が公開されたが、好評のようだ。
(2002.5)

彼は1960年ローマオリンピックで金メダルをとった後、プロに転向。1964年にS・リストンを破りヘビー級のチャンピオンになったが、その後ベトナム戦争の兵役を拒否し王座を奪われた(後に奪回)。
勿論、この表題の言葉はアメリカの黒人問題に対する抗議の言葉である。
【アトランタ19日=佐野慎輔】聖火台の主役は元ボクシング世界ヘビー級チャンピオン、ムハマド・アリ氏(54)だった。19日夜(日本時間20日午前)、華々しく幕を開けたアトランタ五輪。開会式のクライマックス、聖火の点火は米国らしい凝った演出で全世界を驚かせた。だれもが特設スロープを上る米国女子水泳のジャネット・エバンス選手(24)が点火者と思った瞬間、アリ氏が現れ、聖火をバトンタッチ。持病のパーキンソン病で体が小刻みに震えるアリ氏が懸命に点火すると、スタジアムは興奮と感動に包まれた】  産経新聞(平成8年7月20日)

このシーンを見た人は多いが「蝶のように舞い、蜂のように刺す」
といわれた彼の全盛期を知っている悪魔にとっては痛々しすぎるシーンであった。
彼の本名はカシアス・クレイ。世界チャンピオンになった翌日、イスラム教に入り改名した。もし、このアトランタオリンピックがニューヨークテロの後に開催されていたら、この演出は可能だったであろうか。

「カップ数杯の愛情と、一さじの忍耐と、一さじの才能と、一パイントの親切、
 それを良くかき混ぜて皆に配りなさい」                      
さすが、かって「ビッグマウス」と呼ばれただけあって、なかなかの詩人である。

「アメリカに黒人問題はない、すべては白人問題だ」
      ー サルトル
まさにこれぞ名言。

ps.白人は他のどんな人種より優秀と考えた、そしてその証拠を求めてエジプト文明、ギリシャ、ローマ文明を調査した。
探検者の一人、シャポリオンエジプト文明の王墓を発掘してその壁画を調べた。
それは驚くべき光景だった。
「王は褐色の肌で、それに黒人が列し、次に黄色人が並び、最後に白い肌の入れ墨をした野蛮人が 並んでいた」
とかれは友人に書き送っている。
 ー高山正之 (変見自在ー週刊新潮 07.10.25) 

(追加) 

「英語が問題なんです。ブラックイズビューティフルといっても ブラックという言葉自体にすでに悪いイメージがあるんだ からね。
 ほら、ブラック・フラッグといえば海賊の旗、有罪のことです。
 ブラック・マジック、ブラック・リスト、ブラック・マーケット、 黒死病はブラック・デス、ブラック・マークは汚点。
 ブラックという言葉の語感が悪をイメージさせる。ホワイトはその反対です。聖なるもの、美しいものをイメージさせる。
 だから、私は名前から英語式を捨てたのです」
   ー五木寛之(「流されゆく日々」日刊現代 09.7.2)
 (モハメッド・アリとの対談での彼の話。因みに対談の席は「白亜館」という名のレストランだったとか)






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