◇ 暗がりの犬の糞

人が気がつかないのをいいことに、自分の失敗を隠して知らないふりをすることをいう。

しかし、このことわざはもう少し分析しないと、お犬さまに失礼である。
小方宗次氏(麻布大学獣医学助教授)によると、
「犬は人目につかないようにウンチをする。自分の縄張りの外でし、しかも上から砂をかけて隠す。なぜか、それはウンチが臭いから。臭いことがなぜ「暗闇の糞」という習慣にからむかというと主な説は「清潔好き説」・「臭い隠滅説」・「臭い分散説」である」
    (「犬は三日飼えば三年恩を忘れないは本当か?」より)
そうだ。
オシッコは自分の縄張りをアピールし、ウンチは縄張り以外の場所でして、その臭いをたどって敵が住処をみつけられないようにするのである。
なんという頭のよさ。

人間とイヌとのおつきあいは約一万年前の中石器時代からといわれている。
バルト海沿岸の遺跡から立派な箱に入れられて葬られたイヌの骨が見つかったというくらい古いものである。

ギネスブックによると、もっとも遠くから飼い主の元へ帰ったイヌの記録は、1923年、アメリカのウヲルコットで休暇中の家族からはぐれたコリー犬が約半年をかけ太平洋近くのオレゴン州シルバートンの飼い主の家まで焼く3200kmを歩いて戻ったいうものだそうだ。
本当に大したものである。

昔、悪魔の部署で働いていた女子社員に新宿のある客先に書類を届けさせたら、大森の事務所に戻れなくなってしまった。
イヌ以下である。


「私は血統のいい犬より雑種の犬の方が好きだ。
 血統のいい犬はいささか偉そうな雰囲気があるが、雑種の犬は生きるた
 めに懸命に努力する」
  ー遠藤周作・万華鏡

「秋の暮れ 糞する犬の顔哀し」
  ー同上

「世界中の人骨の化石と共に必ず犬の化石も存在している。犬は人間の掛け
 替えのない仲間であった」
    ーゴルゴ13より

「子供が生まれたら子犬を飼うがいい。子犬は子供より早く成長して、子供を守
 ってくれるだろう。
 そして子供が成長すると良き友となる。
 青年になり多感な年頃に犬は老いて、死ぬだろう。
 犬は青年に教えるのである。死ぬ悲しみを」
    ーある犬好きの話 『ゴルゴ13』より

「西ドイツの調査ー犬は自分の体の右部分をいちばん頼れるものに寄せる、という
 結果が出ている」
    ー森脇和夫(警察犬訓練士)

「いまに、操縦席には人間一人と犬一匹がいればよいということに なる。
 人は犬に餌をやるために必要、犬は人がよけいな手を出さぬよう見
 張るために必要」
 ・・・ハイテク機、それを操縦する人々の間で、こういう話が語られて いるそうだ。

まさに犬は人類の友。そして悪魔の友である。


ー薄汚い牡の野良犬が一匹、フラフラしている。目やには溜まり、体中無数の傷だらけ。
えさを求めてあちこち漁っていると、角からツンとすました牝犬が姿を現した。
毛はきれいに撫でつけられ、爪にはマニキュア、頭にもリボンを結び、おまけにマツゲも見事にカールされている。
野良犬は呆気にとられて思わず声をかけた。
「あなたはどこのお方で」
  「私はミウゾウ家のブードルですわ。ところであなたは?」
すっかり動揺した野良犬。脇の方へ寄ると。ぽつりと一言。
「いや、私は別に・・・・
 ただ、クソをタレにきただけで」





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