「私は一つ間違いを犯した・・・」
という点についての詳細である。


1930年12月、アインシュタインは、アメリカを訪問したときに、彼の平和思想を語った。その中で、アインシュタインは、戦争を阻止するための具体的な方法を示した。
 アインシュタイン曰く「現在、さまざまな国の人が、国家のために、殺人の罪を犯していることに気づいてほしいと思います。いかなる状況でも、兵役は拒否すべきなのです。兵役を指名された人の2%が戦争拒否を声明すれば、政府は無力となります。なぜなら、どの国もその2%を越える人を収容する刑務所のスペースがないからです。」
 この演説は、アメリカ人に、熱狂的に迎えられ、若者の襟を「2%」と書かれたバッジが飾っていった。
 1933年、アインシュタインは、ナチスの迫害を逃れて、アメリカの亡命した。この時、アインシュタインは、それまでの平和思想を、突然くつがえし、ナチスへの対抗を訴えた。
 アインシュタインは、ロマン・ロランと平和主義の同志として長い交流を続けていた。そのロマン・ロランにアインシュタインは、つぎのような手紙を送った。「私がお伝えすることは、あなたを驚かすでしょう。もう、兵役拒否が有効な時代は終わりました。今こそ、武器を取って立ち上がるべきです。」
 アインシュタインの態度の変化に対して、ロマン・ロランは、日記に、こう書いた。「かかる精神の弱さが、一人の科学者の精神に見えるとは・・・。アインシュタインの知性は、自然科学の分野では天才的であるが、それ以外では、あいまいで、自己矛盾している。」

1939年8月2日、レオ・シラードの要請を受けて、アインシュタインは、ルーズベルト大統領宛の原爆の開発をうながす手紙に署名した。アインシュタインは、シラードが手紙を持ってきてから、2週間悩んだすえに、署名したのだった。内容は以下の通りである

アルバート・アインシュタイン
オールド・グローブ・ロード
ナッサウ・ポイント
ペコニック・ロング・アイランド
1939年8月2日

F・D・ルーズベルト
合衆国大統領
ホワイトハウス
ワシントンD・C

拝啓
 原稿の形で私に報告された、E・フェルミとL・シラードのいくつかの最近の論文は、ウラン元素が、非常に近い将来、新しい、そして重要なエネルギーの源になると期待を私に抱かせます。いままでに起こったいくつかの事態は、十分注意深く見守る必要があり、必要とあらば、当局として早速行動に移す必要があるように思います。したがって私は、次のような事実と勧告に対して、あなたの注意をうながすことを私の義務と信じます。
 最近の四ヶ月の間に、フランスのジョリオとアメリカのフェルミとシラードの仕事によって大量のウラニュウム中に核連鎖反応を起こすことが可能になり、それによって、莫大な力と、多量の新しいラジウムに似た元素を作り出すことが、あり得ることになりました。そしていまや、これが近い将来に実現されるのは、ほとんど確実なように思えます。
 この新しい現象はまた、爆弾の作製も可能にします。そして、新しいタイプの非常に強力な爆弾が作られるということは --- 確実というほどでないにしても --- 十分に考え得ることであります。もし、このタイプの一つの爆弾がボートで運ばれ、港で爆発させれたとすれば、それは港全体を破壊してしまうばかりでなく、その周りの地域をも破壊してしまうでしょう。しかし、この爆弾は、飛行機での輸送には、重すぎることも明らかになるでしょう。
 合衆国は、少なからぬ量ではありますが貧弱なウラン鉱石しか持ちません。カナダと旧チェコスロバキアには、いくつかのいい鉱石があります。一方、最も重要なウラン源は、ベルギー領コンゴです。
 この状況から鑑みれば、政府と、(核分裂の)連鎖反応の研究をしているアメリカ人物理学者達との、持続的接触を密にすることが望ましいと、あなたは思うでしょう。これを達成する一つの可能な道は、あなたにとって、この仕事を、あなたが信頼でき、また、非公式の資格で、多分、奉仕することができる人に託することでしょう。その仕事は、以下のことを含みます。
 a)政府の省庁に接近して、さらなる開発に関して周知すること、合衆国のために、ウランの確保を確実にする件について特別な注意をうながす内容の、政府の行動にむけた勧告を提案すること。
 b)現在、研究は、大学の実験室の限られた予算で実施されていますが、必要なら、かくなる理由で、寄付を惜しまない私人との接触を通して、基金を用意することと、そしてまた、必要な設備の揃っている産業各社の実験室の協力を得ることで、実験作業を速めることです。
 私は、ドイツが占領したチェコスロバキアの鉱山からのウランの販売を事実上停止したことの意味を理解しています。ドイツが、そのような早急な行動をとったことは、多分、次のような理由で理解できます。すなわち、ドイツの次官の子息、フォン・ヴァイツゼッカーは、ベルリンのカイザー・ヴィルヘルム研究所に 配属されていますが、そこではアメリカのウラン研究がいくつも追跡研究されているのからなのです。

敬具

アルバート・アインシュタイン

(以上、KM氏のホームページ http://homepage2.nifty.com/einstein/ より、
 許可を頂いて転載した。このホームページはアインシュタインの人生、業績の
 全てが分かる。 必見である)                                       








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