◇復讐は野蛮な正義である

F.ベーコン「随想録」のお言葉。     

2001.9.11の世界貿易センターに対するテロに対し、ブッシュ大統領は
「これは宗教観の違いでも、国と国の戦いでも無い。テロに対しての報復だ」と演説した。

「大辞林」によれば、【報復】とは
「国際関係で、他国の不当な行為に対し、仕返しとして同様の行為を行うこと」
としている。

同様 という部分が重要である。
いわば「目には目を・・」とほぼ同義語である。
しつこいがブッシュの行為は報復ではない。
「目には目を・・」のページで書いたように、その意味は
「目をぶたれたら、相手の目だけをぶち返しなさい。それ以上のこと、頭などを
殴ったりしてはいけません」という旧約聖書のお言葉である。
要は、復讐をいさめた言葉である。
(もともと、人間はやられた以上のことをやる性質を持っているから)
だから、100人殺されたら相手を100人ころしてもよい。
それ以上の人間を殺し、おまけに領土まで略奪することは侵略であり、壮大なる復讐と呼ばれるべきものである。

野蛮な保安官(アメリカ)が善良(といえるかどうかは別として)な悪漢、イラクを裁く(あるいはリンチにかける)という図式である。
         

「復讐には何かわれわれの正義感を満足させるものがある。
 われわれの復讐の観念はわれわれの数学的能力と同様に厳密なものであって、
 方程式の両辺が満足されないうちは、われわれはまだ何かし残したことがある
 ような感じがしてならない。」                     
    ー新渡戸稲造 「日本の魂」

「敵を愛し、迫害するもののために祈れ。」
   -マタイによる福音書5:44

のはずなのだが・・
(神もたまには良いことをいう)

「復讐という料理は冷めてから喰った方がうまい」
    ーフランスの諺

「復讐は冷たい皿に盛った方が旨味が増す」
    ーリビアの諺

「よその男に妻を盗まれたら、最も良い復讐は、
 その男に妻をまかせることである」
    ーユダヤのことわざ

「リベンジだ!」
    ー松阪大輔(西武ライオンズ)

遠藤周作とマダムの話。

・・・・話というのはマダムの少女のころの思い出だった。しかし、まことに一風変った思い出話だったのである。
少女のころこのマダムは近所の男の子にいじめられた口惜しさに、何か仕返しをしようと思ったのだそうである。
いろいろと考えたすえ、彼女はある日、お肉屋さんで肉を包む竹の皮を一枚とって、それを丁寧にのぼして・・・・。

「その中にアレをしてやったの」
「アレ?」
客は小首をかLげてマダムの顔をみた。
「アレよ、ウソコ」
「へえ--」
そして彼女のウソコを入れた竹の皮を、デパートの美しい包装紙で包み、奇麗にリポソでしばった。
その包みを近所の男の子の遊ぶ路においておいたのである。
やがて、男の子たちがこれを見つけて、
「アッ、落しもんだ」
「デバートの包紙だぞ、たんだろな」
「なんだか柔らけえもんだぞ、こりゃ、開いたろか」
「開け、開け」
バリバリっと包装紙を破り、竹の皮をあけて、
「ゲッ」
「ひゃあ、ウソコだ、くそだ」
「お前の指に、黄色いのがくっついとるぞ」
仰天し、騒ぐのを、彼女は物かげからニッコリと笑いながら見ていたというのである。
   ー(ぐうたら好奇学)

報復とはこのレベルまでである?






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