◇ 階層社会にあっては、その構成員は(各自の器量に応じて)
   それぞれ無能のレベルに達する傾向がある

カナダの社会学者J・ピータースが発見(?)した「ピーターの法則」である。
副題 :<創造的>無能のすすめ(著者 :ローレンス・J・ピーター/レイモンド・ハル)

大臣は務まっても、首相は務まらない。
野球でいえば長島のようにプレーヤとしては優秀であっても監督はダメということを世間に非常に分かりやすく示してくれた人もいる。
ここでの教訓は、その地位のふさわしい「力量」の数倍の実力を持っていないと、直に無能のレベルに達するということである。
昨年(2001年)、今年と世間を騒がせた「雪印乳業」、「みずほ銀行」両社長の事故記者会見を見ていて、つくづくそう感じた。

「かくして5月10日夜、私はこの大戦の冒頭に一国の首相としての権力を握った。そしてその後世界大戦の5年3か月にわたり、そしてその時期の終わりにわれわれの敵のすべてが無条件降服し、あるいはまさに降服せんとしているときに私がイギリスの選挙民から、以後の国事指導の役目を解かれるまで、絶えず力を強めながら権力を行使した。
 政治危機の最後のぎっしり詰まったこの数日間、私の脈拍は全然早く打たなかった。私はすべてが来るままに受けた。しかしこの真実の説明を読む読者に対してはやがて午前三時ごろベッドにはいったとき、私は深い安堵感を覚えたのを隠すことはできない。
 私は戦争に関しては何もかも承知していると思っていたし、万が一にも失敗することはないという自信があった。私はぐっすり寝た。私は元気づけてくれる夢など必要なかった。事実は夢に優るのである」、
  ーW・S・チャーチル「第二次世界大戦(河出書房新社)

この位の自信(過信?)と実力がなければトップは務まらないのでしょうね。

「ピーターの法則」から幾つかを紹介しよう。

「時がたつに従って、階層社会のすべてのポストは、その責任を全うし
 えない従業員によって占められるようになる傾向がある」

「仕事は、まだ無能のレベルに達していない従業員によって遂行される」
      
「かくして『社会は、あらゆるポストが無能な人間によって占められて安定する』」

「生まれつき無能な人もいるが、努力して無能になる人もいる」

「時がたつに従って、階層社会のすべてのポストは、その責任を全うし
 えない(無能の)構成員によって占められるようになる傾向がある」

この本の副題「<創造的>無能のすすめ」は、「だから自分が極めて優秀な人間であるという自信がない人はあまり、上昇思考を持たない方がよい」と諫めているのである。

1.能力があって意欲のない者
2.能力も意欲もない者
3.能力、意欲共にある者
というのが、ドイツ参謀本部の人材登用に際しての順位づけだそうだ。
これが本当であればさすがである。


「監督には二通りしかいない。
 クビになった監督と、
 これからクビになる監督だ」
   ーハワード・ウィルキンソン(サッカーのリーズ・ユナイテッド監督)





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