◇ わたしは夢を見ますか?

SAL9000:質問があります。わたしは夢を見ますか?」
 「チャンドラー博士:見るとも、知的生物はみな見る。
 (君は)HALの夢を見るだろう・・・  私もよく見るのだよ」

アーサー・A・クラークのSF大作「2010年宇宙の旅(2010:Space Oddessy Two)」の中でのSAL9000コンピュータと設計者のチャンドラー博士との会話である。
この小説の前作「2001年宇宙の旅」(2001:Space Oddessy。映画はS・キューブリック監督)で宇宙船ディスカバリーを操縦、船内管理を担当していたHAL9000コンピュータの反乱により、ディスカバリー号は宇宙に放棄された。その原因調査と回収のために米ソ(当時)が合同のプロジェクトを行うというのが「2010年宇宙の旅」のテーマである。
SAL9000はそのプロジェクトを支えるために製作されたコンピュータでHAL9000の妹という設定である。

「1997年5月。世界中の人々が見守るなか、ゲイリー・カスパロフとディープ・ブルーのチェス・マッチが再び行われた。
カスパロフは現在のチェス世界チャンピオン。
ディープ・ブルーは、IBMリサーチが開発した超並列のチェス・コンピューターである。
対戦結果は、ディープ・ブルーが2勝1敗3引き分けで勝利。昨年初めて公式ルールでグランド・マスターに1勝した史上初のコンピューターは、ついに世界チャンピオンを制したのである」
    ーIBMホームページより

IBMが喜ぶのも無理はなく、この伝説的世界チャンピオンに1996年にも挑戦して敗北した経緯があるからである。
「デープブルー」はIBMが何年もかけて開発したチェス専用プロセッサーを512個用い、並列処理により一秒間に2億手を検索できるというスーパーコンピュータである

人間はチェスの一局面を見て、瞬時にいくつもの手が頭に浮かぶ。プロの将棋棋士なども、手を読まない、読むのを省くのが強い人のようだ。コンピュータはこれに反して、可能性のある”手”をほとんど力ずくで読んでいくのである。
人間には体調とか疲労などが対局上不利になるケースがあるが、コンピュータにはそのようなことがない。デープブルーは、このゲイリー・カスバロフとの対戦にそなえ、徹底的に彼の過去の棋譜を研究したとのことなので、他の人間あるいは他のコンピュータとの対戦で勝利するか否かは不明である。というのはこのデープブルーは世界チャンピオンになったあと、解体されたそうなので検証は残念ながら不可能なのである。

いきなり話が変わったのには訳がある。
「2001年宇宙の旅」に登場した「HAL」は「IBM]のスペルを一個づつ前にづらしたと言う説がある。
(クラークは単なる偶然だと言っているが)

「SAL9000:質問があります。人間は夢を見ますか?」
 
「悪魔:人間は夢を見ない。人間は知的生物ではないから」






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