◇成功は失敗の母 

成功は、得てして次の失敗の原因になりがちだという、東京経済大学教授・壹岐晃才氏(故人)の警句である。

太平洋戦争中、日本陸軍は三八式歩兵銃というのを使っていた。その名のいわれは、日露戦争に勝った明治三十八年(1905年)に制式化されたからだ。
一発づつ、やおら狙いを定めて撃つ旧式な銃に陸軍は四十年間こだわり続けてきた。
一方アメリカ軍はいち早く自動小銃を開発し、携帯用機関銃まで太平洋戦線で使った。三八式銃で勝負になるはずがない。
「そこまで日本軍がそれにこだわったかというと、日露戦争の勝ったという成功の体験が、あまりに強烈だったからではないか」
歩兵の軍靴も、日露戦争のころからまったく進歩しなかった。はきにくい、と兵士がこぼすと
「馬鹿ツ!」足を靴に合わせろ」
と怒鳴られておしまいだった。
アメリカ軍は第二次世界大戦中だけでも何度も軍靴をモデルチェンジし、兵士が疲れず、戦いやすいように配慮したというのに。
「つまり、一度勝利という成功体験を得ると、一つのカルチャーができる。そのために、以後の発想や思考、行動様式のベクトルが固定されてしまう」。
「そこで最近、経済学者の間では、アンラーニング、という概念が注目を集めるようになってきた」
unlearning=学習破棄と訳されている。
成功体験にしがみついていたら革新が生まれないので、過去の学習を捨てることが必要だというのだ。
      ー上前淳一郎 『読むクスリ part8 1991.3』


「日本軍は馬鹿だった、特に将校が・・。一つの作戦が成功すると、次に失敗し
 ても何回でもその作戦にこだわり続ける」
    ー太平洋戦争後にイギリス軍将校の話

しかし、そうだからといって失敗ばかりすると、失敗の練習をしているみたいなもので、これまたまずい。
いずれにしても「失敗は成功の母」というのは間違いである。
失敗してはいけないのである。
そして成功するには成功体験が大事だ。
だから成功するためには成功すればよい。ということになる。

そして、成功してもいけないとなると一体どうしたものやら・・・・

「失敗は失敗の母」
   ー悪魔







悪魔のことわざ