『われわれが見たのは想像を絶する貧困、想像を絶する苦難、想像を絶する抗争、想像を絶する沈黙、想像を絶する感動、そして想像を絶する悲壮だった』 ー 『中国農民調査』
表題はこの本で紹介されている朱鎔基の言葉である。
この書は陳 桂棣・春桃夫妻の労作だが、中国では発禁書となっており手に入らない。
日本ではどのマスコミも中国の隆盛を伝えるが、一方ではこのような悲惨な状況もある。
上記の言葉を残したくてこのページを記した。 後は蛇足である。
中国の農村人口:8億人 (全人口 13億の6割)
農村地域に小都市を作る「城鎮化」の政策に基づき、古い家を壊して新しい家を 造っていく。家の値段:150元 (約15,000円)
中国では改革・解放政策以降に「農業経営請負制」が採用され、各農家が個別に 請け負った土地を耕す権利が認められた。 経営の規模が小さく、低い生産性のため収入も上がらないのが実態。 農村の余剰労働力は1.5億から2.5億人に上がるという説もある。
村の幹部による強制的な土地収用や腐敗が後を絶たず10月以降に起きた騒乱事 件も土地収用に絡むものが中心になっている。 「土地は国家のものであり、農民が個別に請け負っている筈なのに、幹部が貧し い農民の土地を強制収容し、金持ちの農民に借地権を売っている。腐敗(汚職) 以外の何物でもない」 と怒る。
中国国家統計局によると、03年の農民一人あたりの平均純収入は2622.24元 (一元は約13円)。 河北省の農民の場合、2853.38元で全国平均を上回っている。 最低は貴州省の1564.66元。 農民収入の増加は出稼ぎなどの非農業収入の増加によるもの。 01年の統計では農民一人当たりの非農業収入は1066元。そのうち出稼ぎ収入が 376元に達している。
一方、03年の都市住民1人あたり平均可処分所得は8472.20元。 最高は上海の14867.49元。次は北京の13882.62元。
農村と都市の収入の格差は改革・開放政策が始まった78年には1:2.57。 84年には1:1.86まで縮小したが、03年には1対3.23にまで広がった。 ー産経新聞より
ケ小平が内陸部の貧困農村地帯に視察に行ったときのこと。
農民に対して、「今必要なものは何ですか?」と尋ねた。
その農民は、「陳勝と呉広」と答えた ー中国のジョーク
*注:陳勝と呉広は共に最初に秦に叛いて兵を挙げ、それによって各地に 兵を挙げる者が出て、秦を滅亡に導いた。 このことから、物事のさきがけをする人。真っ先に事を行なう人という 意味になった。 【陳勝呉広(ちんしょうごこう)】 http://www.geocities.jp/kuro_kurogo/ko-jien04/page11.html
フルシチョフは、自分の農業改革がどの位進んでいるかを見るために、
シベリアに視察に出かけた。 みすぼらしい恰好のコルホーズ農民が集まってきて、フルシチョフに 口々に訴えた。
「見て下さい。この身なり。子供は裸足同然だし・・・・。 牛は乳を出さないし、豚もやせ細ってまるで豚じゃねえ。」
「トラクターや種もみも足りませんよ。」 これを聞いてフルシチョフは、アフリカのピグミー族の写真を 見せて言った。
「これを見てごらん。みんな裸で、裸足で歩いてるじゃないか。 アフリカの同志は、もっとつらい目にあってるんだ。食べる物も
十分じゃないから、体もこんなに小さい。」 農民が感に堪えぬように言った。
「なるほど、二キータ・セルゲイェヴィチ。アフリカじゃソビエト政権が 我々より少なくとも100年前には誕生していたのですね。」
ーロシアのアネクドート
*表題は船橋洋一の世界ブリーフィング 「週刊朝日2004年5月21号」より。

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