◇神は愚者を守り給う 

そんなことはあり得ないが、これは「タムルード」に書かれていることばである。

「タムルード(ユダヤの律法とその解説)」とはモーゼの十戒をユダヤ教徒としての身の処し方を規定したのが律法(トーラー)。さらにそれを律法学者(ラビ)が何百年もかけてミシュナ(ユダヤ教の口伝律法)を書き、それを発展させて民族離散(ディアスボラ)後の口伝律法として編纂したものである。
そのボリュームは小さなトラック一台にやっと載せられるものらしい。

『タルムード』の本領
「ヨイネさんよ、ユダヤ民族五〇〇〇年の知恵を集めたっていう『タルム-ド』つうのは、
いったい何だか教えてくれないかね」
「それじゃあ、ひとつ例をあげて教えてやろう。
ええと、二人の男が煙突の穴から落ちたとする。一人は煤だらけになり、もう一人はきれ
いだったとすれば、洗う奴はどっちだと思う?」
「そりゃあ、汚れた奴にきまっていらあね」
「おっと、それがそうじゃないんだな。汚れた方がきれいな方を見て思うにゃ、おれも汚れちゃいないな。ところが、きれいな方が汚れた奴を見たら、自分も汚れていると思うだろう。
だから、きれいな方が洗うのさ。
ところでもう一つ聞くが、二人がもう一度煙突の穴に落ちたとしたら、今度はどっちが洗うかね?」
「そりゃあもう、知ってのとおりきれいな方さね」
「と思っただろう。きれいな方は洗つているとき、べつに汚れちゃいないのに気がついたのさ。
ところが汚れた方は、きれいな方がどうして洗ったか察しがついたわけさ。
だから、今度は汚れた奴が洗ったというのが正解さ。
それでは三番目の質問だが、二人が三度目に煙突の中に落ちたとしたら、今度は誰が洗うと思う?」
「そりゃあ、この先はいつも汚れた奴が洗うことになるだろう」
「それがまた間違いなんだな。お前、いったい人問二人が一緒に煙突の中に落ち込んで、片つ方だけ汚れないのに、もう一方の奴が汚れたなんて話を聞いたことがあるかね。
これを『タルムード』というのさ。


"神は愚者を守り給う"と『タルムード』に書いてあるのを見て、ヘルムの男は考えた。
一待てよ、おれはしょっちゅう、馬鹿の阿呆のといわれている。そうすると…
一というわけで、窓からとび降りた。足を折ってうなりながら男は悟った。
一やっぱり、おれは馬鹿じゃなかったんだ。しかし、こんなに頭がいいとも思わなかっ
  たな一
      ーライトマン「ユダヤ最高のジョーク」





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