悪魔のダーウィン賞
■ メジャーリーグのおばかチャン

スポーツはドラマであり喜劇でもある

スポーツはときに笑いをもたらし、そして言うまでもなく、涙を誘うときもある。
2002年のメジャーリーグで笑いをもたらしたのは、ちょっと変わった怪我のエピソードだ。
当の選手たちはチームメイトやコーチ、マスコミ、そしてファンに大笑いされた。
私のお気に入りは、ボルチモア・オリオールズの外野手マーティ・コルドバ(32)の事件である。5月20日にオリオールズはオークランドへ遠征し、21日からアスレチクスと3連戦を行うことになっていた。ウエストコーストに到着すると、コルドバは日焼けサロンへ行った。肌をきれいに焼いたほうが、カリフォルニアの美しい人々の中でいっそう映えると思ったのだろう。
しかし、コルドバは日焼け用ライトに長くあたりすぎ、顔に重度のやけどを負った。5月23日にはドクターストップがかかり、ベンチから外れた。原因は顔のやけど。恥ずかしくて、顔はさらに赤くなったに違いない。
同じ5月、ニューヨーク・ヤンキースの左投手ランディ・ケスラー(26)は肩を痛め、15日間の故障者リストに載った。球団はフロリダ州タンパの自宅へ戻ってリハビリすることを許可した。
しかし、リハビリは予定通りに進まなかった。自宅で裏庭の手入れをしているとき、左手の小指をピグミー・ガラガラヘビに噛まれたのだ。幸い命にかかわる怪我ではなかったが、さらに1カ月以上、故障者リストに名前を連ねることになった。

●「故障者リストを経験できるチャンスだ」
アメリカのマスコミの大半は、コルドバとケスラーの奇妙で不運な事件を面白半分で大々的に報じた。
そして、あるキャスターが「ドジな奴ら」と呼んだメンバーに、日本からも1人加わることになった。
そのうらやましくない新入りは小宮山悟だ。
今シーズンの小宮山には、私も含めて大きな期待が寄せられていた。しかし4月15日、本格的に始動する前に、小宮山は自宅ガレージのドアで手を挟んでしまった。大切な右手の中指を切り、重傷の打撲も負った。

小宮山はすぐ15日間の故障者リストに登録されたが、その不器用さ以上に、アメリカのマスコミを面白がらせた一件がある。
最低15日間は復帰できないことをどう思うかと質問されて、36歳のベテラン投手は次のように答えた。
「野球のすべてを経験したいと思ってアメリカに来たから、故障者リストを経験できるいいチャンスだ」
ESPNのレポーターは、あきれた表情でインタビューを締めくくった。
「とてもよくわかりました。家まで車を運転して帰りながら、正面衝突の大事故を経験したいと思わないように祈っています」

  ーマーティ・キーナート   2002年10月10日
    http://journal.msn.co.jp/index/column02.htm


(2002.10.18)


                      
     

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